『ちっこ房だより』~エコ・スタイルな〈住まいのくふう〉と〈シンプル木工〉のすすめ~

〈気もちいい暮らし〉のあれこれ話し…〈自己満足〉な空間づくりめざして…ひと任せじゃない、マイ・チャレンジの…〈木づくり人〉からのメッセージ集です。

ぼくの〈エコ・スタイル〉な住まいのくふう / 〈第1期〉リンビング床暖房のこと-④工事3日目-

-No.0005-
★2020年05月21日(木曜日)
★11.3.11フクシマから → 3360日
★延期…オリンピック東京まで → 429日
★旧暦4月29日
(月齢27.9、月出03:46、月没17:14) 

 ※きょうで、〈第1期〉リンビング床暖房、全5回の記事を終え。次からは、〈第2期〉〝床暖〟後のリフォーム話しになります。

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★ホカッ…ときた!

 3日目。
 新しい床材を張って、いよいよ仕上がる日。
 きょうは、東京ガスの機器設置トレーナーと大工さんの2人。

 温水マットを敷いた上に、上張りの化粧単板はガス温水床暖用6mm厚(朝日ウッド・テック社製)。
 〈単板〉というのは、別名「ベニヤ」
 材木を薄く削った板のことで、これを接着剤で貼り合わせプレスしたものが「合板」だが、日本では「合板」も「ベニヤ」と呼んでいる。

 ちなみに、合板は単板を3枚・5枚・7枚…と、奇数枚、貼り合わせてつくるが、これは単板の木目を互い違いに張り合わせることで強度をもたせるため。
 そこで、内側の単板より外側の単板に仕上がりのキレイな(アラのない)単板をもってくることになる。

 工作やインテリアによろこばれる「シナベニヤ」というのは、内側には肌のアラい輸入ラワン材、外側に欠点の少ない「シナの木」の単板を貼ってある。

 「化粧単板」というのは、ざっくり言えば、仕上げ用の「きれいな合板」ほどの意味で。 
 表面にくる単板には木目や材の色艶の美しい樹種が選ばれ、ほとんどがその上にニスなどの塗装が施され、「天然銘木」と称されている(この呼び名はヨロシクない)。
 
 前にお話したとおり、ぼくん家のリビング、旧床材は落葉松〔からまつ〕無垢材フローリングであり、本統の実質からいえば「化粧単板」など比べものにならないものなのだ、が。

 温水床暖房のマット敷きでは、板に熱負荷がかかるため、無垢材ではどうしても「反り」や「歪み」が生じやすい。
 これを「木が暴れる」というのだが、アバレを少なくするためには化粧合板のほうが優れている…だけではない。
 板の厚みも、「床暖房」にとっては重要なポイントだから、最低でも15mm厚くらいは必要な無垢材フローリングでは熱効率がよくない、ということもあるのだった。

 ぼくたちは、いろいろ種類のあるなかから、「ブラックチェリー」材を選んだ。
 もっと若いときだったら、濃い目の「オーク」とか「マロン」にしたかも…だが、齢もあり、気分を明るくする色気のものにした。
 人の全体重をのせた足で踏まれる床だから、もちろん材は最高級。

 

 もうひとつ。
 6mm厚の「化粧単板」は、100mm幅の板を3枚あわせた感じに、300mm幅が1枚の造り。
 これは、床板でも壁板でも、1枚の板幅は狭いほど仕上がりがきれいで、高級感もあるからだ。

 これを、キッチリと隙間なく、接着剤でもじどおり「貼り」つけていく。
 無垢材のフローリングの場合は、「フロアー釘」と呼ばれるスクリュー型の金具で打ち付けて「張る」から、ふつう接着剤は使わない。このへんにも、材料によるチガイがあった、けれども。

 ともあれ
 仕事はさすがに手慣れたもので、段取りよく、作法どおりの「突きつけ」で、いい出来栄えに仕上がり。
 大工さんは、午後早めに職分を終え、ひとあし先に引き揚げた。

 あとは、機器設置トレーナーの仕事。
 見切り材で四周を確認しながら仕上げ、外に出て給水配管と配線類の最終確認をして。
 通電・通水、「床暖」のテスト&確認(写真、最下段左)、乗ってみると確かに「あったか」かった。

 すべての片づけを済ませ。
 おしまいに、リモコンの使い方を説明してもらって、予定どおり、めでたく終了。


 この日は、秋彼岸の明け、3時のお茶に「明け団子」を用意してあったのだ、けれど、「キリをつけてから」ということで仕事を終えてからの接待になり。
 そろそろ暗くなる頃に引き揚げて行った。

 あとのポッカポカ床暖リビングに、ぼくたちは幸せ感をたっぷり味わう。

  ……………

【後日談】
 〈床暖〉設置は9月末のことだった。
 工事完了の日と、その翌日にテスト導入した後は、冬の寒さに見舞われるまで〈待機〉期間に入ったのだ…けれども。

 それから、ひと月も経たない10月に入ってまもなく、台風19号の接近に伴って俄〔にわ〕かな冷気に見舞われ、〈床暖〉のスイッチを入れ、同時に〈操作マニュアル〉をじっくり読みこんだ。

 そこで想ったのは、〈床暖〉設置を決めたとき、一抹の危惧としてあった(これは甘やかしすぎではあるまいか?)ということ。
 齢はかさねても、身体にこれといった不具合を感じているわけでもなし。
 いや、むしろ(わが人生でいまがいちばん体調はいいかもしれない)くらい。

 「ちゃっぷい(寒い)」からといって、ストーブやエアコンの〈暖房〉に齧りついていてはイカンだろう…と。


 そんな危惧をふりきった想いが、(頭寒足熱、足もとを温めて身体を動かしやすくするのダ)だったが、正直(とかく身体は楽をしたいもの)一抹の不安は拭えなかった。

 しかし……
 そんな〈不安〉も〈危惧〉も、わずか1日、感覚を研ぎ澄ませて様子を見た結果、消し飛んだ。
〈暖房〉の温もりは、温度をほんとに〝適当〟に保つかぎり(甘ったれる)ほどのことはなく、(30分以上は座りっぱなしにならないように)さえ心がけて、ほかの室内空間に移動すれば、むしろ温度変化によって身体が活気づくことを発見。
 
 ただし、できるかぎり
 〈裸足〉でいること、が条件。
 そこで、さて
 どこまで厳寒期を、床暖ガマンしてとおせるか…